2007年 11月 17日
「秋の絵画教室」を終えて… |
秋のニューヨーク「絵画教室」全10回コースが今週で終りました。
クラスは9名で毎回マンハッタンの違った場所に全員でスケッチに出かけました。
油彩歴8年以上のベテランの方から全く初めての方までと経験の幅はまちまちでしたが、
「何かを表現したい…」と言う熱意は皆さん誰にも負けないものをお持ちでした。
このクラスのように外で「風」を感じながらスケッチをするのはほとんどの方が初めての
経験で、最初は通行人の目が気になり恥ずかしかったようですが、描き始めると「無」の
境地に入り、周りは気にならなくなったようです。
また、街角に立つとどこからどう描けばよいのか最初は全員が戸惑ってましたが、
8回目ぐらいからそれぞれの方が個性的な画風で描けるようになり、その自信で線や色に
迷いがなくなりました。
前にもこのブログで書きましたが、芸術で教えることはありません、ただそれぞれの個性を
引き出し、自信ある作品が描けるような空気作りぐらいは今回できたような気がします。
最後のクラスではそれぞれの自信作でグリーティングカードを作りましたが、
ここで何点かコメントを添えてご紹介します。
M-Sさんの作品
クラスをいつも明るくしてくださった大ベテランの方ですが、本人いわく
「描き込むのではなくてもっとさらっと描きたい…」そうですが…無理です。
長年人生を生きてこられて、どの作品にもその良さがにじみ出ていて味わい深い
スタイルです。これが個性で持ち味なので、このスタイルを変えることは自分
を変えることなので無理なのです。私はこの深みが逆に気に入っていますので、
自分のスタイルを変えるのではなく、このスタイルに磨きをかければますます
輝くと思います。来年はご帰国されるので寂しくなります。
S-Iさんの作品
物静かでベテランのS-Iさんは芸術家肌で「あまり人と接することや、人物を
描くことは得意ではないと…」と本人は言っておられましたがさてどうでしょう…。
グランドセントラル駅でのスケッチから急に人‐ヒト‐ひと…が作品に描かれる
ようになりました。どの人も個性あふれるニューヨークならではの顔です。
ただこれも遠くロングアイランドから電車で通われる往復の車内で、たくさんの
人物を毎回スケッチされていた、陰の努力のたまものだと思います。
T-Fさんの作品
お二人の息子さんも結婚されて、自分と向き合う余裕ができ、今回クラスに
参加されました。「性格が大胆なもので…」と言われますが、作風は大胆な中
にも繊細さがあり、独特な色彩のセンスは抜群です。まだ色が途中だと言われる
カフェの作品は淡彩で、何か安らぎを感じる作品です。
スケッチで色をつける場合はどこで止めるかが難しいと思いますが、勢いが大切
なので、色に迷い、筆が止まったらそこで仕上がったと思ってください。
迷いながら色をつけると色が濁ってしまいます。
Y-Nさんの作品
独特な空気感を出せる方です。「食」をテーマに描かれたスケッチも多く、
その味や香りまでもが伝わってきます。また色彩の幅が広く、例えば「青」
一色を例にとっても普通に人が見える以上の色を感じられている気がします。
来年ご帰国されても是非スケッチを続けてください。
M-Tさんの作品
まだ小学生の小さな二人のお子さんのお母さんと言うだけあって、その視点
はいつも温かいとこに向けられています。
特にご自宅でお子さんを描かれたスケッチはお母さんでなければ描けない幸せな
一瞬を捉えています。また街角でのスケッチもその感性で温かい色調に描かれて
います。子育ての合間に自分と向き合う時間も大切にされているとこがこの街角
でのスケッチにも現われていると思います。
M-Iさんの作品
最初のセントラルパークでのスケッチではかなり四苦八苦されていましたが、
ブルックリンブリッジやセントパトリック教会と回を重ねるごとに、細部まで
描き込む独特な画風が自然と出来上がり、ポイントだけを捉えたその描写力
に驚きました。クラスではあまり発言されませんが作品で十分自己の存在を
主張されていて、わずか5センチ四方ほどの小さな作品の中に、実はたくさんの
世界観が詰まっている方だと思います。
また現在、私の手元に作品がなく、今回ここで作品の紹介ができない
3人の方々です。
K-Oさん
お仕事がお忙しい合間に2回目から参加して頂いきましたが、ご自宅の窓
から描かれたハドソン川の眺めはゆったりとした風が流れ、きっと大切に
されている風景なのだと印象的でした。もしこのブログを読まれたら、四季
を通して同じ場所を描かれるのも楽しいと思います。K-Oさんとハドソン川
は切っても切れない仲のような気がします。
S-Dさん
今回初めて絵を習い始められ、最初はどこをどう描けばよいのか全く
わからなく戸惑っておられましたが、8回目のブライアントパークでの噴水や
落葉のスケッチから急に線や色に迷いがなくなり、かなり自信をつけられた
のではと伺えます。本人はそんなことないと言われますが、絵は正直です。
この調子で次回のクラスまでどんどんと描きためてもらいたいと思います。
M-Kさん
最初はお友だちに誘われて参加されたようですが、持って生まれた配色の
感性はなかなか鋭く(方向感覚はないようですが…)、特に9回目のコロンバス
サークルでクリスマスのオーナメントetc. 気に入ったものだけを描いたこの
作品はセンスも色彩も構図もなかなかまねのできないものです。
以上です、皆様お疲れ様でした。
お知らせ…
2008年 「新田和繁‐スケッチ教室」 の予定
1月16日(水)~2月27日(水)
毎週水曜日 10:00~12:00
全7回 $210
日本クラブ The Nippon Club
TEL: 212-581-2223
クラスは9名で毎回マンハッタンの違った場所に全員でスケッチに出かけました。
油彩歴8年以上のベテランの方から全く初めての方までと経験の幅はまちまちでしたが、
「何かを表現したい…」と言う熱意は皆さん誰にも負けないものをお持ちでした。
このクラスのように外で「風」を感じながらスケッチをするのはほとんどの方が初めての
経験で、最初は通行人の目が気になり恥ずかしかったようですが、描き始めると「無」の
境地に入り、周りは気にならなくなったようです。
また、街角に立つとどこからどう描けばよいのか最初は全員が戸惑ってましたが、
8回目ぐらいからそれぞれの方が個性的な画風で描けるようになり、その自信で線や色に
迷いがなくなりました。
前にもこのブログで書きましたが、芸術で教えることはありません、ただそれぞれの個性を
引き出し、自信ある作品が描けるような空気作りぐらいは今回できたような気がします。
最後のクラスではそれぞれの自信作でグリーティングカードを作りましたが、
ここで何点かコメントを添えてご紹介します。
M-Sさんの作品
クラスをいつも明るくしてくださった大ベテランの方ですが、本人いわく
「描き込むのではなくてもっとさらっと描きたい…」そうですが…無理です。
長年人生を生きてこられて、どの作品にもその良さがにじみ出ていて味わい深い
スタイルです。これが個性で持ち味なので、このスタイルを変えることは自分
を変えることなので無理なのです。私はこの深みが逆に気に入っていますので、
自分のスタイルを変えるのではなく、このスタイルに磨きをかければますます
輝くと思います。来年はご帰国されるので寂しくなります。
S-Iさんの作品
物静かでベテランのS-Iさんは芸術家肌で「あまり人と接することや、人物を
描くことは得意ではないと…」と本人は言っておられましたがさてどうでしょう…。
グランドセントラル駅でのスケッチから急に人‐ヒト‐ひと…が作品に描かれる
ようになりました。どの人も個性あふれるニューヨークならではの顔です。
ただこれも遠くロングアイランドから電車で通われる往復の車内で、たくさんの
人物を毎回スケッチされていた、陰の努力のたまものだと思います。
T-Fさんの作品
お二人の息子さんも結婚されて、自分と向き合う余裕ができ、今回クラスに
参加されました。「性格が大胆なもので…」と言われますが、作風は大胆な中
にも繊細さがあり、独特な色彩のセンスは抜群です。まだ色が途中だと言われる
カフェの作品は淡彩で、何か安らぎを感じる作品です。
スケッチで色をつける場合はどこで止めるかが難しいと思いますが、勢いが大切
なので、色に迷い、筆が止まったらそこで仕上がったと思ってください。
迷いながら色をつけると色が濁ってしまいます。
Y-Nさんの作品
独特な空気感を出せる方です。「食」をテーマに描かれたスケッチも多く、
その味や香りまでもが伝わってきます。また色彩の幅が広く、例えば「青」
一色を例にとっても普通に人が見える以上の色を感じられている気がします。
来年ご帰国されても是非スケッチを続けてください。
M-Tさんの作品
まだ小学生の小さな二人のお子さんのお母さんと言うだけあって、その視点
はいつも温かいとこに向けられています。
特にご自宅でお子さんを描かれたスケッチはお母さんでなければ描けない幸せな
一瞬を捉えています。また街角でのスケッチもその感性で温かい色調に描かれて
います。子育ての合間に自分と向き合う時間も大切にされているとこがこの街角
でのスケッチにも現われていると思います。
M-Iさんの作品
最初のセントラルパークでのスケッチではかなり四苦八苦されていましたが、
ブルックリンブリッジやセントパトリック教会と回を重ねるごとに、細部まで
描き込む独特な画風が自然と出来上がり、ポイントだけを捉えたその描写力
に驚きました。クラスではあまり発言されませんが作品で十分自己の存在を
主張されていて、わずか5センチ四方ほどの小さな作品の中に、実はたくさんの
世界観が詰まっている方だと思います。
また現在、私の手元に作品がなく、今回ここで作品の紹介ができない
3人の方々です。
K-Oさん
お仕事がお忙しい合間に2回目から参加して頂いきましたが、ご自宅の窓
から描かれたハドソン川の眺めはゆったりとした風が流れ、きっと大切に
されている風景なのだと印象的でした。もしこのブログを読まれたら、四季
を通して同じ場所を描かれるのも楽しいと思います。K-Oさんとハドソン川
は切っても切れない仲のような気がします。
S-Dさん
今回初めて絵を習い始められ、最初はどこをどう描けばよいのか全く
わからなく戸惑っておられましたが、8回目のブライアントパークでの噴水や
落葉のスケッチから急に線や色に迷いがなくなり、かなり自信をつけられた
のではと伺えます。本人はそんなことないと言われますが、絵は正直です。
この調子で次回のクラスまでどんどんと描きためてもらいたいと思います。
M-Kさん
最初はお友だちに誘われて参加されたようですが、持って生まれた配色の
感性はなかなか鋭く(方向感覚はないようですが…)、特に9回目のコロンバス
サークルでクリスマスのオーナメントetc. 気に入ったものだけを描いたこの
作品はセンスも色彩も構図もなかなかまねのできないものです。
以上です、皆様お疲れ様でした。
お知らせ…
2008年 「新田和繁‐スケッチ教室」 の予定
1月16日(水)~2月27日(水)
毎週水曜日 10:00~12:00
全7回 $210
日本クラブ The Nippon Club
TEL: 212-581-2223
by nykazustudio
| 2007-11-17 06:31